【語学学習・フランス語】冠詞について③ー『中級フランス語 あらわす文法』を読む(第1章)ー

今日の文法の勉強は、東郷雄二著『中級フランス語 あらわす文法』の1章「モノとコトをあらわす:冠詞と名詞のはたらき」(1課〜7課)を読みました。
1章 モノとコトをあらわす:冠詞と名詞のはたらき
 1課 パンはどこにある? ー冠詞は何の役に立つのか
 2課 冠詞の二つの働き ー意味を区切り、談話を組み立てる
 3課 コトバは意味をどのように区切るか ー冠詞の認知機能
 4課 定と不定はどのように決まるか ー冠詞の談話機能
 5課 定冠詞を支える隠れた枠組み ー再び初出の定冠詞について
 6課 フランス人はチーズが好き ー総称を表す冠詞
 7課 Un Mozart って何だろう ー固有名詞につく冠詞
コラム 仏和辞典はどうやってつくる?

この章の目次を見ただけでもワクワクしますよね!ねっ!?(強気)


勉強メモ
今回もまた、自分がなるほどなぁとおもった点をピックアップしてまとめていきます。(私の個人的な勉強ノートです。本の内容をバランスよく紹介しているわけではないので、ぜひご自分で読んでください!)

1課 パンはどこにある? ー冠詞は何の役に立つのか
  • 「私(著者)はここ(なんでこういった文法の現象が起こるのだろう?という疑問提起が前述されています)に冠詞の秘密が潜んでいると考えています。その秘密とは、冠詞には実は二つの異なるレベルの機能が重ねられているということです。」
著者による「二つの異なるレベルの機能」とは、
1. 可算/非可算の区別(後の課で「認知機能」とされている)が関係するレベル
2. 不定/定の区別(後の課で「談話機能」とされている)が関係するレベル
だそうです。

最初に冠詞を学ぶ時にここまで教えてもらったらいいなぁとおもった点です。でも、多分習ったんだけど、入門レベルだとそこまで頭が回らないというか、理解がそこまで達していないというのもあるので、一概にはいえないけど。どの段階でどれだけ学ぶか・身につけるかは語学学習の難しいところですね。

2課 冠詞の二つの働き ー意味を区切り、談話を組み立てる
フランス語を学ぶと最初の方で、冠詞は「定冠詞、不定冠詞、部分冠詞の3つがあります」と習いますが、実は3つが完全に別れているわけではなくて、層があるんですよ。という話でした。また、冠詞の用法で典型的に習うのは「初出は不定冠詞、次から定冠詞」という規則ですが、著者の分析によるとこの定冠詞の用法は、じつはもっと一般的な定冠詞の用法の特殊な例なのだということだそうです。

  • 「定冠詞の談話機能は聞き手に存在前提を伝達すると言うコトですので、「2度目の言及からは定冠詞」と言うのはその1つの特殊なケースにすぎないのです。」
確かにそう考えると、すっきりするなぁ。なるほどーとなります。

3課 コトバは意味をどのように区切るか ー冠詞の認知機能
  • 「可算と非可算の区別は、モノの輪郭と境界線がはっきりしているかどうかで決まります。(有界性)」
これは、自分が書く時や話す時にイメージするのに役立ちそうです!なかなか瞬時に冠詞の使い分けを考えるのは難しいですが、イメージを常に持って置くことで、瞬時の選択ができるようになるかも!?
  • 「抽象名詞の複数形は具体例を表す」
この用法は、あまり知らなかった…うーん、「知らなかった」とはちがうな。なんだろ。「意識したことがなかった」かな。そうね。

この用法の例文(の一つ)として本の中で挙げられているのは、
Les lenteurs de l'administration m'énervent. (お役所仕事の鈍いことにはいらいらする。)
という文。「のろさ」という抽象名詞が、複数になっていることで、具体的事例をさすようになっているらしい。この文はフランスに来たら100回ぐらい唱えたくなる文なので、例と用法が一緒に覚えやすい!

4課 定と不定はどのように決まるか ー冠詞の談話機能
  • 「連想照応」
二つの語の間に「「全体」と「部分」の関係が成り立っていて、そのときに限り(初出の名詞に対しても)定冠詞が使えます。より正確に言うと、この場合は定冠詞しか使えません。」
  • 身体部位を表す名詞につく冠詞について

「身体部位にフレームが働くのは一つの文の内部だけで、文が変わるとだめになってしまいます。」「文の境界を越えると、英語と同じように所有形容詞[...]をつけなくてはなりません。」

この二つは、前回の『現代フランス広文典』の勉強で取り上げた部分の補足になりました(自分の中で)。(前回の記事はこちら!)

人の身体部位を表す名詞につく冠詞は定冠詞、その仕組みが上のポイント「連想照応」で説明できるみたいです。これは身体部分に限らず、車とその一部について言うときに、その車の「一部」は初出であっても定冠詞を使わなければいけないという、もっと一般的なルールらしいです。そして、それが身体についてだと、Je me lave mes mains じゃなくて Je me lave les mainsというようになる!でも、身体部位に関しては、同じ文の中だから定冠詞だけど、文を二つに分けた場合、つまり、les mainsが別の文にある場合は ses mains と所有形容詞にならなくちゃいけない!
しらなかった〜。

5課 定冠詞を支える隠れた枠組み ー再び初出の定冠詞について
  • 定冠詞複数形のルーズな使い方
「フランス人は〜」というような文について、必ずしもメンバー全員が当てはまらないけれど、共同体としてみたいな意味で使う場合があるらしい。これの例として本の中で挙げられているのは、
Les Chinois ont inventé le boussole, le papier et la poudre.
(中国人は羅針盤と紙と火薬を発明した。)
という文で、別に中国人全体として、これらを発明したわけじゃないけど、les Chinoisが使えるという、説明がきっちりつかない用法があるよというのが新鮮でした。何にでも答えがあるわけじゃない…。それが語学学習…。

6課 フランス人はチーズが好き ー総称を表す冠詞
  • 「不定冠詞単数形は[...]集合のメンバー全部をまとめて考えなくては成り立たないような表現では使うことができません。」e.g. abonder, s'éteindre, se raréfier
この課では、定冠詞、不定冠詞、部分冠詞を通して、「総称」を表す場合にはどういった用法があるのだろうと、視点を変えて見ているのが新鮮でした。
前回の『現代フランス広文典』の勉強では、不定冠詞の用法、定冠詞の用法、部分冠詞の用法、といった形式でまとめられていましたが、それを「総称」という用法から、いってみれば逆向きにまとめ直してあるという感じです。新たな発見もたくさん!

7課 Un Mozart って何だろう ー固有名詞につく冠詞
とくに「しらなかった〜」っというものはなかったけど、例文が豊富ですごくおもしろかった。

コラム 仏和辞典はどうやってつくる?
この章のコラムでは、学生と先生のやり取りを通してどうやって仏和辞典を作るのかと言う話をしている。けっこうクスッときました。そして、ちゃんとこの章に関連するオチもあって、うまいなぁ〜とおもいました。

まとめ
前回と今回の勉強について言うと、『現代フランス広文典』で骨組みを学んで、『中級フランス語 あらわす文法』で肉をつけていくという感覚でした。今日紹介した本は、本当に例文が豊富です。(もちろん前者にもたくさん例文は載っていますが)

分析していくというスタイルなので、きっちりと説明ができるのかな?これってどういう用法なんだろう?と少し考えさせられるような、微妙な(「ビミョー」と言う意味じゃなくて、une subtilité があると言う意味での「微妙な」)例文がたくさん載っていて、なるほどなるほどーと思いながら楽しく読めました。

また、エッセイみたいに話が進んでいって勉強しているというよりは、読書をしている感覚でした。

「中級」とありますが、この章に限って言えば初級で冠詞の文法事項を習った後に、さらっと読んでみても面白いとおもいます。勉強の意味に深みが出る!確かに出ている単語と文法は初級では難しいとは思いますが、冠詞の部分と日本語訳だけを見てもなんとなくわかるんじゃないかなとおもいます。それに、教科書じゃないから全部理解する必要ないし!!こんなのあるんだ〜、へ〜〜〜と発見があることが大事!そういうのを楽しめたら、語学学習がもっと楽しくなるとおもいます。

  

冠詞については、ひとまず終わり。次はなんのテーマにしようかな。

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